衰退していたジュエリー市場は、D2Cブランドに有利と感じた

ジュエリーブランド打ち合わせ


ジュエリーはかつて3兆円もの市場規模をもっていましたが、約1兆円へと衰退。市場も産業も衰退している状況だからこそ、これからD2Cでブランドをするにあたって有利と感じました。

前回の記事

宝石店に並ぶジュエリー達

ではなぜ僕がD2Cビジネスをジュエリーブランドとして選択したのか。そのきっかけについてご紹介をしました。今回の記事からは、もう少しD2Cでジュエリーブランドという道を選ぶことになった理由を深堀していきたいと思います。

ジュエリー市場が衰退しているとなぜ有利なのか

(出典)国内宝飾品(ジュエリー)市場規模推移と予測(矢野研究所調べ)


約3兆円とされたいたジュエリー市場は、いつの間にか約1兆円の市場へと衰退していました。それに伴ってそもそものジュエリーを取り巻く産業も、当然の如く衰退していました。

詳しく分析せずとも、周りでジュエリーをがんがん購入している人は高収入帯の方でもほとんどいませんでしたし、そもそもアパレルの主軸がファストファッションへと移行していくなどのような流れの中で、ジュエリーもまた”それっぽいアクセサリー”で同じような見た目で安く購入できるようなものが主体となっていました。

銀座などの路面店を眺めても盛り上がっている店舗は一部のラグジュアリーブランドの店舗を除いては見かけないですし、百貨店にいっても閑散としている。そんな状況が普通でした。

一般的には、今盛り上がっている市場に目をつけて創業する方が良いかもしれません。
しかし僕の考え方は逆です。むしろ弱体化している産業、マーケットほど競合の力が弱まっているので、新規参入がしやすく、新しい付加価値やブランドを構築しやすいと考えました。

ジュエリーという概念はイメージがかなり強く構築されてしまっていたので、そのリブランディングは長期的な戦略になることが予想されていましたら、見方によってはそれだけ強固な地盤も認知もされているというメリットに感じられました。

そもそも僕は短期的なビジネスには全く興味がありませんでしたし、法人をイグジットして。というような前提のビジネスよりも、自分のライフワークになるようなビジネスを探していたので、長期的に向き合っていく産業はむしろ好都合でした。

短期的に成長させやすい、構築しやすいモデルはその分参入障壁が低いので、せっかく作っても競合で飽和化しやすかったりするわけですから、どちらにもメリットデメリットが平等にあり、どちらが自分にあってるか。で選ぶべきだと考えています。

いずれにしてもD2Cでブランドをやるにあたって、ジュエリーブランドという選択肢は、衰退しているマーケットにおいてやることのメリットも再構築による価値も高いと感じたのです。

当然ですがしっかりと構築された市場で衰退しているのですから、新規参入したら戦いやすい。という単純な理屈です。新規参入なら再定義・再編集という段階から一気にスタートできるので、非常に開発もしやすいですしね。

ジュエリー業界はつまらないから衰退していた?

ジュエリーショップのショーウィンドウ

市場が衰退し、産業も衰退していることの理由には色々な要素が絡み合っています。
例えばジュエリーは生活必需品ではなく贅沢品なので、経済の動向によって大きく左右もされます。

しかし僕が感じた最たる理由は、そもそもジュエリー業界がつまらない状態になったから衰退したのではないかというものです。感覚的な表現になってしまいますが、これが一番的確だと思っています。

実際宝石店などにユーザー側として調査もかねて訪れてみると、どこも同じような内装。同じような商品が並べられていた、ジュエリーとはみたいなフォーマット感が強い印象を感じました。どこにいっても同じようなので、正直色々なお店へいく楽しさが途中からなくなっていたんですね。

今のジュエリーのカルチャーって欧米が起源で、輸入文化なんですよね。
例えばダイヤモンドの価値を決める世界共通の基準だって欧米が作ったもの。

文化が流入して市場が生まれ、産業が発展する。
しかしジュエリー業界の場合は、その後の再編集がされていなかったのだと思います。
試みは数多くされてはいても、どこかでジュエリーはこうじゃなきゃいけないという概念に囚われてしまっているので、結果そこから生まれたものが焼き増し状態になっていて、差別化や多様性が失われていった。というのが僕の考察です。

結果、どこにいっても同じだし、なんかずっと同じでジュエリーという言葉には特別感を感じるけれど、実際の商品まではなかなか興味が湧かない。というユーザー側のライフスタイルにとってジュエリーが新しいワクワクするトキメキの付加価値をもたらさなくなってしまった。楽しいと思えなくなってしまった。ジュエリーにポテンシャルはあるのに、そのポテンシャルを業界が引き出していくことができなかった。そういうことだと思います。

ジュエリーブランド打ち合わせ


そもそもジュエリー業界の内部の方々自体が、ジュエリーを楽しめなくなってしまっていたのではないかと思います。

多少厳しい意見になってしまいますが、実際に僕がジュエリーブランドを立ち上げる時にはかなり業界内での取引やコミュニケーションにおいて既成概念が強すぎて悩みました。そしてあまりジュエリーのことを愛していたり、好きでやっている人が少なかったという現実もありました。

物というのは、やはり作り手や提供する側がエキサイティングしていないと、絶対に人の心を動かすものは作れない。というのが僕のポリシーなのですが、ジュエリー業界を眺めて最初に感じたのはこういった感想でした。

だからこそこのジュエリー業界をD2Cで純度高く、よりエキサイティングなものに変換できるブランドを作るメリットを強く感じたわけでもあります。

実際、日本のものづくりは。というような声をよく聞きましたが、実態のない話が日本のメーカーには蔓延していたように思います。

人生もそうですし、物事というのは常に新しい時代へと最適化していくことが必須であり、再編集を繰り返していくのが、生きることであり、仕事であると僕は思っていて。

どこか過去の栄光や、過去の事例に囚われてしまって、いつの間にか再編集という概念が失われてしまったのではないかと思うのです。

ジュエリーショップで喜ぶ女性」


でも実際に3兆円もの市場を作ることができたのは、ジュエリーという素材が優秀だから。
それがやり方によってつまらないものになってしまったのなら、また楽しいものに作り替えてあげればいい。まだ生まれていない市場を開発するよりも、僕はジュエリーを再度盛り上げていくという方向性に強い興味をもったのです。そして今まさに新規参入する上で、とても有利な状況だと感じたんですね。


次回以降の記事でも、D2Cでジュエリーブランドを選択した他の大きな理由達についても触れていきたいと思います。


僕がD2Cでジュエリーブランドを立ち上げたここまでの経緯については下記記事も合わせてご覧頂ければ幸いです。

D2C
宝石店に並ぶジュエリー達


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ABOUT US
KURO
1983年神戸生まれ東京育ち。クリエイティブディレクター、実業家、キャンパー。「生活必需より人生必需」をモットーに、一度きりの人生をより豊かに華やかに吟味するライフスタイルを追求。完全made in Japanなジュエリーブランドを創業し、総監督して2021年で10周年。提供するもの、関わる人たちを引き立てる優れた背景になりたいという想いから、「KURO(全てを引き立てる黒い背景)」を名乗り、華やかな人生、ライフスタイルは何かを追求し続けています。様々なD2C系事業やブランドのプランニングや立ち上げのサポート、コンサルティングも精力的にサポートしています。お問い合わせはインスタグラムDMよりお願いします。
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