ジュエリーはLTVに優れているため、D2Cブランドに最適だった

ジュエリーを製作している風景

D2Cという概念がまだ生まれていなかった時に、D2Cのビジネスモデルを始め、ジュエリーブランドという道を選んだ理由の大きな一つに、LTV(ライフタイムバリュー)に非常に優れていたという点があります。なぜジュエリーがLTVに優れていて、D2Cでブランドをスタートするにあたって最適だったのでしょうか。

これまでD2Cのジュエリーブランドを始めるにあたった経緯に触れてきました。過去のアーカイブも合わせてご覧頂ければ幸いです。

宝石店に並ぶジュエリー達
ジュエリーブランド打ち合わせ

ジュエリーがLTVに非常に優れた商材である理由

ジュエリーを製作している風景

実際にジュエリーというものを調べていくと、LTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー)に非常に優れた商材だということが明確になりました。僕は実物商材において、ジュエリーは最強のLTV商材だと思います。

たくさん理由があるのですが、大きな理由は下記です。

  1. 半永久的に保存が可能な商品であること
  2. 貴金属と宝石という全て金銭的価値がある素材だけで構成されていること
  3. その価値が世界中で統一して保証されていること
  4. 何度でもリサイクル可能であること
  5. 中古の概念がないこと
  6. 1個ロットから製作できるため、商品のメッセージ性を強く持てる


ジュエリーというのは、貴金属と宝石で成立しています。
貴金属と宝石というものは捨てるという概念が存在しません。
もちろん任意で捨てることはできますが、捨てることにはデメリットしかないからです。

なぜなら貴金属も宝石というのは、世界中どこでも換金できるという価値をもっているからです。それが購入して二日目のジュエリーでも、新品のジュエリーでも、100年前に作られたジュエリーであってもです。そんな商材は他に見たことがありません。

例えば、ブランドAがゴールドとダイヤモンドを調達、加工してジュエリーAを作ります。
それを、宝石店Aに卸売りします。
宝石店Aは在庫としてジュエリーAを保有わけですが、その在庫は金銭としての価値を保ち続けます。在庫リスクが低いのです。ファッション製品だとどれだけ高品質でも繊維などその素材自体に大きな価値はありませんから、在庫処理を迫られます。在庫で持つよりも定価から大幅に値下げしたセールを行ってとにかく在庫処理をした方が良いからです。しかしジュエリーは違います。今売っても100年後に売っても良いのです。
それに在庫処理は業者間でもできますし、販売という方法でも可能です。これは創業まもないブランドにとって非常に安心感があります。最悪売れなかった場合でも、いつでも現金化できるわけですから。

そして顧客AにジュエリーAが20万円で販売されました。
顧客Aは10年ほどそのジュエリーを身につけて楽しんでいましたが、身につける機会がなくなってしまいました。そこで購入したジュエリーを下取りしてもらおうと、購入した宝石店Aヘ再来店します。

普通の商品は使わなくなったら廃棄する手段が一般的です。もしくは超安価に譲ったりするなどの方法でしょうか。

しかしジュエリーは現金と一緒なので、捨てるという選択肢がありません。持つ人は現金化したり、新しいジュエリーを購入するための下取りをしたり、そもそもずっとコレクションし続けることができたりと、1つの商品が何回も色々な形で継続的に取引されていくのです。

一度販売すれば、そのお客様とより長くお付き合いしていく、さらには次の世代のお客様へと繋がっていく可能性が最大化されている。ジュエリーの持つ可能性に心がトキメキました。

だって僕は、より長く消費者と繋がり続け、より高めあっていくビジネスを探していたのですから。

D2CブランドにLTV指標の高さは必要不可欠

ライフタイムバリュー

D2Cは一過性のビジネスには向いていません。
短期的に回収を目指すなら他のビジネスの方が良いでしょう。
D2Cは直接顧客とつながり続けることを目指すビジネスだと僕は思っているからです。

ですからD2C(顧客と直接純度高くお付き合いしていくビジネス)において、商品そのものLTV価値が高いジュエリーという商材はD2Cブランドをするにあたって超強力な武器であると確信したわけです。

何かサービスなどの付加価値をたくさん紐付けなくても、貴金属と宝石という恒久的にその価値が失われず保有することができ、再活用し続けられる素材でできたジュエリーそのものが、LTVにおいて類稀な価値を持っていたからです。

何事も素材がものを言うと思います。より優れた素材を活用して進めていった方が、より最短ルートで優れたモデルを築けるからです。

D2Cでビジネスを行うなら、後付けでLTVを目指すよりも、扱う商材という素材のLTV要素が高いものを選ぶことが大切だと僕は思います。

実際にD2Cブランドの立ち上げサポートなどを行う際には、必ずこの点を最優先して計画を進めています。素養性とも言えるでしょう。

何事にも向き不向きがありますよね。教育だって一緒です。
スポーツの素養を持つ人をトレーニングした方が、結果は出やすい。
スポーツは不得意でも、何かしらの学問について素養がある人ならば、その学問の知識を授けていった方が結果が出やすいわけですから。

もちろん新しい素養の開発。という観点もありますが、それよりも世の中にあるD2CとしてLTV素養をもった商材ジャンルを選ぶ方が圧倒的にパフォーマンスの高い事業運営を叶えることができるでしょう。

D2Cがスタンダードになったからといって、なんでもD2Cに当てはめられるわけではないのです。

既存ジュエリービジネスはLTVを食いつぶしているケースが多かった

ジュエリー製作現場

これは前回の記事

ジュエリーブランド打ち合わせ

でも触れていた要素と同じなのですが、既存のジュエリービジネスやブランドは、ジュエリーの持つLTV素養を食いつぶしているケースが目立っていました。

例えばせっかくリサイクリング可能な素材でジュエリーが構成されているのに、ただジュエリーは希少価値が高いという部分だけを活用して、高単価で販売だけしている。というようなケースです。

それでは、せっかく得られた顧客とジュエリーという素養を最大限に生かしたお付き合いをしていくことはできません。

とにかくもったいない。そんな状態でした。
販売されたジュエリー商品をユーザーが使用しなくなったら、メルカリのオンラインや買取専門店などに流れて自分たちのお店やブランドに戻ってくることなく途切れてしまう。

せっかくジュエリーが持つLTVの素養を活用できていなければ、ジュエリーというビジネスそのものの本来の意味が失われてしまうのです。もちろんこれはジュエリーに限った話ではありません。

自分たちが作った商品を軸にして、どうずっとお付き合いしていくか。
そういう前提でビジネスを設計することに尽力することこそ、D2Cでブランドビジネスをするにあたって大切なことだと僕は思うのです。

僕がD2Cをはじめとしたビジネスを構築する時は、とにかくこの点を最優先事項として設計するようにしています。実際の設計事例などは、また別の記事でご紹介したいと思います。

僕が初めて作ったD2Cジュエリーブランドはこちら>

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D2C
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ABOUT US
KURO
1983年神戸生まれ東京育ち。クリエイティブディレクター、実業家、キャンパー。「生活必需より人生必需」をモットーに、一度きりの人生をより豊かに華やかに吟味するライフスタイルを追求。完全made in Japanなジュエリーブランドを創業し、総監督して2021年で10周年。提供するもの、関わる人たちを引き立てる優れた背景になりたいという想いから、「KURO(全てを引き立てる黒い背景)」を名乗り、華やかな人生、ライフスタイルは何かを追求し続けています。様々なD2C系事業やブランドのプランニングや立ち上げのサポート、コンサルティングも精力的にサポートしています。お問い合わせはインスタグラムDMよりお願いします。
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