婚約指輪はオーダーメイドが基本。フルオーダーやオリジナルオーダーも可能です。婚約指輪のオーダーメイドで失敗しないためにプロが基本的な流れやデザインの選び方などを詳しくご紹介します。
目次・CONTENTS
婚約指輪のオーダーメイドとは?
オーダーメイドとは、受注生産のことです。つまりオーダーを受け付けてから製作することです。メイド・トゥ・オーダーとも言われますが、同じ意味です。
通常製品や商品というのは、デザインされ製造されて実物を見て購入するという方法が一般的ですが、オーダーメイドはオーダーを受けてから作るという点において逆の流れで進める購入および商品提供の方法です。
婚約指輪におけるオーダーメイドも同じで、既製品を購入するのではなく、デザインを検討して決定してからそのために作られる商品を入手する流れとなります。
そもそも婚約指輪の購入方法には下記の方法があります。
- レディメイド(既製品の購入)
- オーダーメイド
- フルオーダー(完全オリジナル)
- セミオーダー(選択オーダー)
- セルフメイド(自分で作る)
それぞれにメリットデメリットもありますが、メリットデメリットというよりは、何が最適な婚約指輪のオーダー方法なのかは人それぞれによって異なるため、最適な婚約指輪のオーダー方法を選択できるかどうか、またそれぞれのオーダー方法について適切な知識をもって選ぶかが大切です。
1. 婚約指輪のレディメイド(既製品の購入)
婚約指輪のレディメイドとは、既製品として完成された婚約指輪を購入するオーダー方法です。お店にいって品定めしてその実物を購入する流れと同じです。レディメイドで購入する場合のメリットやデメリットは下記のようなポイントとなります。
- その場ですぐに購入できる。最速で婚約指輪を入手できる。
- 既製品のため、オーダーメイドよりも安価であるケースが多い。
- 既製品のため自由度が低い。あるものからしか選択肢がない。
- 適切なサイズの婚約指輪がない場合がある。
- 宝石店等の在庫状況に大きく左右される。
レディメイド(既製品)の婚約指輪は当然ですが、そこに完成されて在庫がある婚約指輪から選んで購入するため、その場で入手することができますから、オーダーメイドとは違って最速で婚約指輪を入手することができます。
余りないとは思いますが、すぐに婚約指輪が必要なケースなどにおいては有用性の高い婚約指輪のオーダー方法であるといえるでしょう。
また一点物の指輪作品として婚約指輪を購入する場合も、レディメイドで購入することになります。(アンティークリングなど)
しかし既製品なのでオーダーメイドとは反対に、自由度はありません。在庫がなければ入手することはできません。気に入ったデザインの婚約指輪があっても、最適なサイズの指輪在庫がなければ結局はオーダーメイドでお願いする流れになります。
またデザインは気に入っても、主役のダイヤモンドのカラットが目的と異なる場合にも変えることはできません。
後述しますが、基本的には婚約指輪は商品の特性上、オーダーメイドが原則となります。
ただ既製品だとオーダーメイドよりも宝石店やブランド側の手間が省けるので、安価に購入できることがほとんどです。量産系のデザインであればより安くなるでしょうし、既製品で在庫処分対象の婚約指輪などであれば、非常に安く婚約指輪を購入することもできると思います。
2. 婚約指輪のオーダーメイド(オーダーしてから作ってもらう)
婚約指輪のオーダーメイドは、オーダーをしてから自分たちのために作ってもらう婚約指輪の購入方法です。
レディメイドは宝石店や婚約・結婚指輪専門店にある即売可能な婚約指輪在庫からの選択肢のみ(もしくは取り寄せ)ですが、オーダーメイドは在庫の制限をうけることがなく、自由度が非常に高いオーダー方法です。
婚約指輪をオーダーメイドで叶える上でのメリットなどポイントは下記の通りです。
- 在庫状況に左右されずにオーダーができる
- 指輪のサイズはぴったりなものを確実にオーダーできる
- デザインをカスタムしたりオリジナルができたり叶えたいデザインを叶えられる
- 自分たちのために作られるという特別感がある
- 予算に合わせて自由に婚約指輪を設計できる
- ダイヤモンドのカラットなどクラスを自由に選べる
- オーダーしてから製作するので、納品までに数ヶ月かかる
- 既製品よりも婚約指輪の価格が上がる場合がある
- 最終的な予算感が掴みづらい
基本的に婚約指輪をオーダーメイドで叶える方法については、メリットだらけです。
婚約指輪という特別な指輪の特性上デメリットとは言えないかもしれませんが、既製品の婚約指輪を購入するよりも、手元に届くまで時間がかかります。当然ですが、オーダーを受け付けてから製作するためです。
またこちらもデメリットではありませんが、オーダーメイドで理想を取り入れていくほど予算は上がっていく傾向にあるため、当初の予算よりも婚約指輪の価格が上がってしまう可能性はあります。
婚約指輪のオーダーメイドにはいくつか種類があります。それぞれについてご紹介しましょう。
婚約指輪のフルオーダーメイド(オリジナル)
婚約指輪のフルオーダーメイド(フルオーダー)は、完全にオリジナルでデザインを作る婚約指輪のオーダー方法です。自由度が最も高いオーダー方法です。
婚約指輪のオーダーメイドはできても、フルオーダーには対応していないブランドや宝石店がほとんどです。例えば欧米などのラグジュアリーブランドなどではフルオーダーは基本できませんし、婚約指輪や結婚指輪の専門店や国内の宝石店でも、フルオーダーに対応しているお店は多くありません。
完全に0からデザインを決めていくことができるため、自分たちの叶えたいデザインを自由に叶えることができます。(著作権を侵害しないものであれば)
例えばバラが好きで、バラをイメージした完全オリジナルの婚約指輪デザインを作りたいとします。フルオーダーメイドであれば完全にオリジナルで様々なローズのモチーフなどを検討し、候補を作り、納得のいくまで修正を重ねてデザインを作ることができます。
基本的なフルオーダーでの婚約指輪のオーダーの流れは下記のような流れとなります。
- イメージやデザインの方向性、予算を伝える
- ダイヤモンドを選ぶ
- 婚約指輪のデザインデータを作成する
- デザインデータの修正を重ねる
- 最終決定したデザインで製作を依頼する(決済もこのタイミング)
- 製作開始、約2ヶ月ほどで完成
フルオーダーの場合、鍵となるのは、デザインデータです。完成するまで実物を見ることができないため、デザインデータで意思決定をする必要があります。
デザインデータと実際仕上がってきた婚約指輪のイメージが異なっていた。なんてことにならないために、しっかりとデザインデータを確認して、デザイナーや担当のスタッフの方とすり合わせをしていくことが重要です。(フルオーダーはどんな商品でも同じです)
サンプルとなるような実物の婚約指輪から下記のポイントを判断するようにするとスムーズです。
- 貴金属の色味(プラチナ、イエローゴールド、ピンクゴールド)
- 婚約指輪の幅のイメージ(既製品の指輪でどれくらいの幅が理想か判断する)
- ダイヤモンドの大きさやクラス(実際のダイヤモンドで判断する)
また、婚約指輪のフルオーダーにおけるデザインデータには、
- デザイナーによる手書きデッサンデータ
- デザイナーによるイメージCGデータ
- もしくは両方
のパターンがあります。おすすめは2番目のイメージCGです。デッサンはあくまで手書きなので、実物感とは程遠いため、デッサンなどから実物を想像がし辛い場合などにはトラブルの原因になりやすいです。イメージCGであれば再現性が非常に高いため、完成品もよりイメージしやすくなるでしょう。
婚約指輪のセミオーダー(選択オーダー)
婚約指輪のセミオーダー(セミオーダーメイド)は、フルオーダーが完全に0からオリジナルでデザインを作っていく婚約指輪のオーダーメイド方法なのに対し、0からではなく選択肢から組み合わせて選んでいくオーダーメイド方法です。
婚約指輪のオーダー方法としては最も多くの方が選ぶ選択肢であり、婚約指輪の前提ともいえるオーダー方法です。
婚約指輪のセミオーダーにおける選択肢は下記の項目です。
- ダイヤモンド(クラス、シェイプ)
- 婚約指輪本体のデザイン(枠)
- 婚約指輪の貴金属素材と色味
- 婚約指輪のサイズ
- その他軽微なカスタマイズ
大きな部分は、ダイヤモンドと指輪本体のデザイン(枠と言われる)の2つの選択です。婚約指輪は大きく分けてダイヤモンド部分とリング本体の2つの素材で構成されているからです。
同じ指輪のデザインでも、主役としてセンターに留めるダイヤモンドの大きさやクラスによって見た目は大き変わります。(写真のように、カラットの違いによって大きく変わります)
婚約指輪のセミオーダーメイドの流れとしては基本的に下記の流れとなります。
- センターダイヤモンドを選ぶ(主役宝石)
- 選択カラットに対応した婚約指輪本体デザインを選ぶ
- 素材を選ぶ
- サイズを選ぶ
- 刻印などの要素を選ぶ
- 仕様が確定したら、決済して製作開始
- 完成
1のダイヤモンドの選定と2の婚約指輪デザインは、逆の順番で選ぶこともあります。
通常、婚約指輪の主役はあくまでダイヤモンドなどの宝石なので、ダイヤモンド選びがまず最初のステップです。しかしケースによっては、こんなデザインを選びたい。そのデザインに合わせてダイヤを選びたいという場合もあるでしょう。
その場合には、婚約指輪デザインを選んでからそのデザインと相性の良いダイヤモンドなどの主役宝石を選ぶという流れでも大丈夫です。特になければ、基本はダイヤモンドなどの宝石からです。デザインから選ぶのは、ファッションジュエリーなどで叶えたほうが良い場合が多いです。婚約指輪はあくまで価値の高い宝石を保有し、それをまとい、見せる手段を担うファインジュエリーだからです。
セミオーダーメイドは婚約指輪の基本の選び方なので、欧米のラグジュアリーブランドなどでもセミオーダーで選べることが多く、一般的なオーダー方法です。ほぼ全ての婚約指輪を扱う宝石店で、セミオーダーをすることができるでしょう。
まずはセミオーダーメイドからが基本
婚約指輪の購入方法には色々な方法があることをご理解頂けたかと思います。しかし多くの方にとって初めての婚約指輪選び。自分たちにとって何が最適なオーダー方法なのか。その前提が分からないという方もいらっしゃると思います。
まず全ての方におすすめしたいのは、婚約指輪のセミオーダーメイドです。婚約指輪はセミオーダーメイドが基本です。ファッションジュエリーとしての指輪なら既製品(レディメイド)が基本ですが、婚約指輪はサイズやダイヤモンドなど複数の選択要素があるため、余程の理由がない限りはセミオーダーメイドが前提となります。
既製品の方が安価に購入できる可能性は高まりますが、実際に価格差というのはメリットといえるほどのものになることは稀です。既製品のほうがかえって選ぶのに時間がかかったり、好みのものがなくて色々な宝石店を回ることになったり、在庫がなかったりサイズがなかったりと、デメリットも多いのが事実だからです。
それに婚約指輪はファッションリングとは違って特別な指輪。やはり自分たちのために仕上げてくれるオーダーメイドこそ満足感を最も得られる方法です。
しかしフルオーダーメイドでいきなりオリジナルと言っても、想像がつかないケースが多いですし、ハードルが高いです。無理にフルオーダーでいきなり進めると、かえって理想のデザインから離れてしまうことも少なくありません。
まずは選択型でよりイメージも湧きやすく、選びやすく、特別感もしっかりとあるセミオーダーメイドで婚約指輪を検討するようにしましょう。
婚約指輪のフルオーダーメイドはセミオーダーから入る
セミオーダーが基本といっても、一生に一度の宝物なら完全オリジナルで絶対に叶えたい。と考える方もいらっしゃるでしょう。その情熱は素敵なものなので、大切にして欲しいです。
しかし業界の方ならまだしもいきなり素人の方がジュエリーという特殊な商品のデザインをオリジナルで検討するのは、ハードルが高すぎるのが現実です。
婚約指輪のフルオーダーを目的としても、まずはセミオーダーから検討しましょう。ある程度デザインの方向性が固まったら、それらからカスタムしていくことで、フルオーダーのデザインもより具体的にスムーズに進めやすくなります。
まずはセミオーダーから。そしてさらに理想を突き詰めていきたい場合にフルオーダーへと流れていく。この方法が最も理想を叶えやすいと思います。
婚約指輪選びはダイヤモンド選びという前提を理解する
婚約指輪と聞くと、ついデザインばかりに目が行きがち。しかし大切なのは、ダイヤモンド選びです。婚約指輪はファッションリングではなく、価値の高い宝石をまとったファインジュエリーとしての指輪であり、主役の宝石(ダイヤモンド)があくまで主役です。
主役のダイヤモンド次第で、指輪の印象は大きく変わりますし、デザイン要素の多くを担うのがダイヤモンド部分です。
また婚約指輪はデザインだけでなく、価値を保有する手段であり、その価値を見せる手段でもあるので、ダイヤモンド選びから始めるようにしましょう。予算のほとんどもダイヤモンドによって大きく左右されます。(追加でセットされる造形用のダイヤモンドはあまり左右しません)
生涯のパートナーとなるダイヤモンドをまずは選ぶ。その選んだダイヤモンドに対して、どのようなデザインが良いかを決める。この流れに忠実になることで、婚約指輪のオーダーメイドは失敗せず理想を叶えることがしやすくなります。
婚約指輪素材はプラチナかカラーゴールドか
婚約指輪のオーダーメイドではダイヤモンド選びが最も大切ですが、どのような素材を選ぶかによってもそのデザイン性は非常に大きく左右されます。
婚約指輪の素材としては必ず下記の選択肢となります。
- プラチナ(白金)
- K18イエローゴールド(18金イエローゴールド)
- K18ピンクゴールド(18金ピンクゴールド)
これ以外の選択肢は基本的にありません。ジュエリーは必ず貴金属で作ります。(貴金属でなければジュエリーとは呼べません)
貴金属の種類としては、ゴールド・プラチナ・シルバーですが、婚約指輪のように生涯そのまま保管したとしても変色しない前提で素材選びをするとなるとゴールドかプラチナとなります。(シルバーも腐食はおこりませんが、変色は徐々に起こるため、ファッションジュエリー向けです)
ゴールドにはホワイトゴールドもありますが、要はプラチナ劣化なのと、プラチナと色味が一緒なのと、素材のコストも対して変わらないので、シルバーカラーはプラチナ一択です。
イエローやピンクゴールドなどのカラーゴールドにすると肌馴染みがよく、ファッション性が高くなります。ゴールドの場合は純度が必ずK18(18金・金の純度75%)で選びます。これ以上もこれ未満もありません。(K10などは選んではいけません)
要はシルバーカラー、ゴールドカラー、ピンクゴールドカラーの3つのカラーです。これらから好みの色味を選べば良いです。
最も一般的なのはプラチナ。ダイヤモンドの白き輝きとプラチナの白い輝きは最も相性が良いです。
イエローゴールドの婚約指輪も人気です。ファッション性が高く、普段使いもしやすくなりますね。肌馴染みもプラチナより良いです。(プラチナはいい意味で目立ちます)
ピンクゴールドは日本人の肌に最も馴染むカラーです。肌馴染みの良いカラーや、落ち着きのあるカラーの婚約指輪を叶えたい場合におすすめです。
婚約指輪オーダーメイドに関する、まとめと注意点
最後に婚約指輪のオーダーメイドに関するまとめと、注意点を整理しておきます。
- 基本はセミオーダーメイドから
- フルオーダーはセミオーダーである程度イメージを固めてから
- 主役のダイヤモンド(宝石)から選ぶ
- 選んだダイヤモンドに合わせて指輪本体デザインを選ぶ
- 素材はプラチナかゴールドか好きなカラーで選ぶ
- 既製品のサンプルを確認しながら選ぶとスムーズ
- デザインの要素を詰め込みすぎると雑多なデザインになりやすい
- サイズはジャストサイズで選ぶ
- サイズ直しができるデザインかを必ず確認する
- 主役ダイヤに鑑定書がついていること
- プラチナの純度は必ず90%以上で選ぶ
- ゴールドの純度は必ずK18で選ぶ
- ホワイトゴールドやシルバーは選ばない
- アフターサービスについて確認する
婚約指輪のオーダーメイドは選ぶ時間も非常に楽しく有意義な時間です。そのためにも適切なある程度の知識をもってオーダーメイドに関わるようにしましょう。既製品と異なり、仕上がってきた時のワクワク感はたまらないものがあります。
ぜひ理想から妥協することなく、最高の婚約指輪をオーダーメイドで叶えてくださいね。